君はアンラーニングできるか?
しかしアンラーニングはやはり難しい。
それには大きく3つ理由があると思う。
・自分の成功体験に基づいているので捨てにくい
・コスパがいい
・現代社会は情報過多であるという環境
である。
そもそも、得たもので、これからも使っていこうと思う知恵や知識は、自分の成功体験に基づいているので、捨てることが難しい。これからはキャッシュレス決済だよ、と言われて財布から現金を捨てるようなものである。身を切られる思いがするだろう。
しかし思い切って捨てることでもっと良いものが得られる、という体験を何度かする必要がある。それが分かっていれば捨てることが出来るようになる。
左手にも右手にも大事なものを持っていたら、新しいものは手に入れられない。まずは捨てる。良いものが手に入りそうだったら捨てよう、では遅い。
そして、アンラーニングしないことはコスパがいいと錯覚する。今まで通りのやり方を踏襲して失敗しても、上司に「あなたに教わったこういうやり方でやったんですけどねえ」と言えば「俺たちはそれで育ってきたのになあ」同意を得られ、自分の責任を回避しやすい。
今まで成功してきたことをそのままやって怒られることはあまり無い。だからみんな成功事例を知りたがる。周りの人が手を出してないことにチャレンジするのはコスパが悪い。
最後に、現代社会では情報があまりに過多であるということがアンラーニングの邪魔をする。今までにない新しい定説を勉強しようとしても、取得可能な情報が一杯あり、結局今までの自説を強化する情報ばかり取得してしまう。
「Twitterで誰々さんもこう言ってた!間違ってない!」
「この本によると、今までにやってきたことは正しかった」
など。
人事施策においては、アンラーニングが出来ないことにより、生存者バイアスがより強化されて、同タイプの人間ばかりになってくると言われている。さかいふうたさん曰く「活かせる人材の幅」が狭くなっていく。
多様性がなくなっていくということだ。多様性がない組織が弱いというのは以前紹介した「多様性の科学」でもあった。
例えば、仕事量に対しての必要な超過リソースを自分が長時間労働することで賄おうとるす人ばかりが残って会社がブラック化していったり、難易度は高いが本来会社に残すべきナレッジを外注化して評価が得られると、そういう仕事の仕方をする人ばかりが増えて、その会社で実務経験が積めなくなったりする。
技術者が強い会社は技術者ばかりが優遇されて管理者も技術者出身ばかりになるし、その逆もまたそうである。つまり自分が持っている能力以外のものも積極的に学び、尊重しないと組織はタコツボ化していく。
アンラーニングは難しいが、その難しいと述べた点の逆をすればアンラーニングできる。
・自分が成功しているものでも前もって捨てる
・コスパが悪いほうを選択する
・できるだけ一次情報を取得する
である。アンラーニングしないことより、難易度がぐっと高くなったのが分かる。
でもそういった茨の道を進まないと真の楽園には行けないのだろう。
一歩ずつその茨に足を踏み入れていこう。