おねずみ三千世界

これより西方、十万億もの仏国土を過ぎて、世界があるが、それを名づけて極楽という。

井戸の茶碗

去年寄席を見に行った時に聴いた、井戸の茶碗という演目が面白かった。

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落ちとしては芝浜のような感じだが、武士?の矜持というか、人間こうありたいものだな、という尊敬に値する人物がお話に組み込まれているのがよい。

浪人に身をやつしていたとしても、武士は食わねど高楊枝、である。

翻って、現代というのは、自分の長所やメリットを声高にアピールしなければいけない時代である。私のように、そういったことが苦手なタイプはどうも損な役回りをしていることが多いような気がする・・のだが、これは人類普遍的な悩みなのかもしれない。

集団生活をするにあたって、「私が私が」という人はどちらかと言えば疎ましく、周囲に同調することが生きるために必要な人柄だったのだろうと思う。かといって現代では、やはり現実世界で、あるいはソーシャルメディア上などで、声を上げて注目を集めることが重視されるのは間違いない。少なくとも仕事のチャンスを得るという意味では。

最近読んだ本で、自分のしたいことや目標をあえて周りに伝えておくことで、自分のアイデンティティ成型に役立てる、という話があった。

確かに、周りに「今年は〇〇をやります!」などと宣言していれば、「この人は〇〇をやりたい人」というラベルが貼られやすくなり、それがその人を象徴する言葉になるだろう。それが仕事上プラスになるイメージであれば、とても良い手法になのではないだろうか。

井戸の茶碗のくず屋が、またあの二人にお金を渡すのは苦労するぞ、と思うのもこれに近いもので(実際に行動までしているが)、強い言動から人格のイメージが作られるということだ。

自分も取り入れたいが、難易度は高い。仕事上ああしたい、こうしたいという目標のようなものはあっても、それが会社員として正しいものかというと少しズレている気もするので……と、泣き言ばかりでもいけない。

メールやチャットなどの返信が早ければ(とりあえずレスポンスしておく)、仕事をキッチリする人、反応がしっかりある人というイメージは作れるかな、とは思うのでそういったところから始めてみようか。