こんな記事を見たので、OISTを訪問した時に「おお」と感心した話を書き留めておきます。
結論から言うと、階層がA階、B階みたいなネーミングになっているんですよ。
どういうことかと言うと、
エレベーターに乗った時に、階層を表すパネルが
D
C
B
A
みたいになってたんですね。頭の中はプチパニックですが、話を聞くと、フロアの階層自体が普通に1階2階でなく、A階、B階となっているとのこと。
ウェブサイトでもOIST内のカフェは「センター棟 C 階」と表記されています。
https://www.oist.jp/ja/visitors-center-shops-restaurants
なのでもちろんエレベーターのボタンもそれに倣っています。
これには2つ利点があるのだと思いました。
1つは英語学習者ならよく(ドヤ顔で)聞く、
「イギリスでは1階が Ground Floor で、2階が 1st Floor なんだぜ」
という話のように、国によって各階層の名称が結構違うという問題を解消できるという点。
どれだけ、「いや日本では1階は1階なんです」「うちの国でもそうだし、それが国際基準じゃない?」「そんなの間違ってる!英語を使うなら Ground Floor を使うべきだ!」という正解の無い争い、些末だが根深い文化問題での衝突を防げるということ。
OISTは記事中にも
学生数は205人(19年9月時点)で、そのうち日本人学生の割合は15%。日本人の教員も80人中30人で、学内の過半数が外国人で構成されている。
(略)
現在OISTに集まる学生は、欧米はもちろん、中国、韓国、ロシア、インド、オーストラリア、ニュージーランド、ブラジル、レソト(南アフリカ)などと多様性にあふれる。このような事情もあり、学内の教育や研究では英語を用いるのが基本だ。
とあるように、とにかく国際色豊かなので、こういったことに配慮するのはチームプレイが必要な(ものだと思っています)研究の場においては重要なことだと思います。
もう1つの利点は、高低を感じにくい階層表記であれば、「高さはよく分からないが、今はC階にいるのか」と、違和感なく自分がいる階層を受け止められるという点です。
記事中にも「もともとは恩納村の森であり」とあるように、OISTは森、山の土地を切り拓いて作られているので、敷地内の高低差がすごいんですよ。
(切り拓いてとは言うものの、見事に自然と調和していると感じる)
もちろん建物ごとに出入り口があるので、入る建物によっては、
あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!
「おれは ただ歩いて建物に入っていったと
思ったら いつのまにか3Fだった」
な… 何を言っているのか わからねーと思うが
おれも 何をされたのか わからなかった…
みたいなことになってしまう可能性が高いです。そうすると、「やっぱここが3階だと分かりにくいからここを1階にしない?」「一番低い階層がやっぱり1階でしょ」「いや、何かの基準に合わせるなら海抜0メートルを1階にしたら?」とか、これもまた自分の主観、意見、概念だけでいくらでも議論できてしまうので、「ふむ、今いるのはC階か」と、違和感なく受け止められるこの形が優れていると思いました。
世界中にこんな表記のところはいくらでもあるのかもしれませんが、私には初めての体験だったので、「国際交流というのはこういうところからだよな」と感心したという次第です。
その節はOISTの広報さんに大変お世話になりました。ありがとうございました。