では徳というのはどうやって身につけるのか、または教育の現場でどうやって徳を説いていくのか、と聞くと
「宗派により違いますが、私たちの場合は、徳を口で伝えては駄目ということになっています。たとえば布教の類いは一切しない。ただ黙って禅を組むだけ。
そして普段の立ち居振る舞い。飯の食い方、しゃべり方、物腰、考え方、捉え方、勉学への励み方、そういう人間が全て心を入れて行う所作をただ黙々と
続けるのです。するとそれを見た人が自然に徳を理解し、徳のある考え方や行動とはどのようなものか学び取り、共鳴していくと教えられています」
徳を口で伝えては駄目。結局は自分で考え、悟らないといかんのよね。手伝えるのは良い影響を与えることだけ。